当ブログは主に「帝國陸海軍関連の軍跡(遺構・戦跡・石碑など)」・「英霊顕彰施設」を紹介していますが、
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なお、紹介する軍跡は資料不足から漏れ・誤認等もあると思いますのでお気付きの点があれば、ご教示頂ければ幸いです。

紀伊防備隊 戦闘指揮所・横穴式格納庫

和歌山県日高郡由良町阿戸に紀伊防備隊戦闘指揮所横穴式格納庫がありました。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  g 入口 パノラマ写真(和歌山)
▲阿戸地区に遺る紀伊防備隊の横穴式物資格納庫

【探索日時】
平成26年2月19日






紀伊防備隊 施設配置
紀伊防備隊 43紀伊防備隊(和歌山)
▲『近畿地区施設一覧(附青図)』所収の「43 紀伊防備隊」

紀伊防備隊 横穴式格納庫  紀伊防備隊(全体) 現在(和歌山)
▲現在の地図に現存施設・境界を転写

※緑文字が当記事の紹介施設
① 紀伊防備隊 本隊
② 紀伊防備隊 営外宿舎
③ 山弾薬庫
④ 笠松山水源地
⑤ 笠松山防空砲臺
⑥ 里山防空砲臺
⑦ 北山防空砲臺

遺構について※青字は地図にリンクしています
(数字、アルファベット等の遺構配置は上掲地図参照)
③ 山弾薬庫
昭和12(1937)年7月26日、海軍省より呉鎭守府司令長官に対し紀伊防備隊新設が発令され、10月26日、起工式を挙行し工事を開始、昭和14(1939)年11月1日、紀伊防備隊が開隊します。

昭和19(1944)年7月3日、大阪警備府司令長官・大野一郎中将は麾下部隊に対し『機密大阪警備府命令第一五一號』により、弾薬、爆弾、燃料等の危険物、飛行機及び指揮所、通信施設等の防護並びに糧食の分散格納を8月初旬までに完成を目処として示達、防備隊では大阪海軍施設部の計画に基づき阿戸地区南側の山沿に戦闘指揮所、弾薬庫(隊内弾薬庫に対し、山弾薬庫と呼称)、横穴式格納庫(33基)を設営します。

戦闘指揮所、弾薬庫、横穴式格納庫は借地だった様で停戦後は元の所有者に返還され、現在、戦闘指揮所は京都大学の地震観測所に転用、山弾薬庫は集合住宅になり遺構滅失、横穴式格納庫は倉庫に転用や不法投棄、または放置されています。

横穴式防護施設について『近畿地区施設一覧(附青図)』所収の「43 紀伊防備隊」には17ヶ所しか記載がありませんが、『由良町誌』には「ところどころに洞窟(三三箇所)を設け」との記述があります。

※下記紹介の遺構は地図にリンクさせていませんので、位置は上掲地図を参考にしてください。
 なお、現存遺構を緑色滅失・崩落遺構を紫色で表示しています。

a 戦闘指揮所
『近畿地区施設一覧(附青図)』所収の「43 紀伊防備隊」(以下『紀伊防備隊図』と略記)に記載があります。
現在は京都大学の地震観測所に転用(休止中との話もありますが、電気メーターが動いています)されており、斜面の落石防止工事の際も埋められずに遺されていますが、残念ながら扉が付いていて入れません。
『紀伊防備隊図』ではコの字型をしています。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  a 戦闘指揮所 あ 壕口 外から(和歌山)
▲北側の入口
 擁壁工事の際、トンネルが作られ、その奥に本来の入口があります。

紀伊防備隊 横穴式格納庫  a 戦闘指揮所 こ 壕口 外から(和歌山)
▲南側の入口


b・c 横穴式格納庫跡
『紀伊防備隊図』に記載がありますが、擁壁で固められてしまい、痕跡すらありません。


d 横穴式格納庫
『紀伊防備隊図』に記載があり、民間墓地の手前にあります。
素堀の壕で、壕口はやや崩落しており、長さは5m程です。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  d 壕口(和歌山)
▲壕口は崩落と間伐材で殆ど埋まっています。

紀伊防備隊 横穴式格納庫  d 内部(和歌山)
▲内部


e 横穴式格納庫跡
『紀伊防備隊図』に記載がありますが、崩落して溝状になっています。
民間墓地の裏にあります。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  e 崩落跡(和歌山)


ソ 海軍道路
昭和19(1944)年7月、紀伊防備隊本隊と山弾薬庫、横穴式格納庫を結ぶ道路として設営されました。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  ソ 海軍道路(和歌山)
▲現在はコンクリート舗装され、車が1台通れる程の巾しかありませんが現役で使用されています。
 因みに僕はこの道路で切返しに失敗して車の側面を擦ってしまいました・・・

紀伊防備隊 横穴式格納庫  r 入口とソ海軍道路(和歌山)
▲右側に見えるのは下記 r の入口です。


f 横穴式格納庫
『紀伊防備隊図』に記載が有り、道路に面しているためすぐに分かります。
全面コンクリート製で巾200、高さ215cm、奥行10m(奥行は歩測のため誤差あり。以下同じ。)あります。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  f 入口(和歌山)
▲状態はどの格納庫も良好です。

紀伊防備隊 横穴式格納庫  f 内部(和歌山)
▲内部もひび割れもなく良好です。

紀伊防備隊 横穴式格納庫  f 入口右側上の蝶番(和歌山)
▲入口には蝶番が遺されています。


g 横穴式格納庫
『紀伊防備隊図』に記載が有り、入口がコンテナに囲まれていますが道路に面しているためすぐに分かります。
全面コンクリート製で巾3.5、高さ215cm、奥行8mあります。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  g 入口(和歌山)
▲当記事トップの写真と同じ格納庫です。
 格納庫前面にコンクリート舗装があります。

紀伊防備隊 横穴式格納庫  g 入口 内部から(和歌山)
▲格納庫入口の雰囲気に対し内部はそれほど大きくありません。

紀伊防備隊 横穴式格納庫  g 床面の排水溝(和歌山)
▲床面両側には排水溝が造られています。

紀伊防備隊 横穴式格納庫  g 天井換気口 前(和歌山)
▲天井には丁寧に整形された換気口が2ヶ所あります。


h 横穴式格納庫
『紀伊防備隊図』に記載が有り、フェンスに囲まれ放置された畑?の奥にあり、雑草で埋もれています。
全面コンクリート製で大きさは上記 f と同規格です。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  h 入口 (2)(和歌山)
▲海軍道路から見たhの入口
 雑草で埋もれていたので少し掃除させてもらいました。

紀伊防備隊 横穴式格納庫  h 入口(和歌山)
▲畑を回りこんで入口近くから撮影

紀伊防備隊 横穴式格納庫  h 入口左側に遺る扉(和歌山)
▲入口付近に当時の物と思われる重厚な扉が倒れています。


i 横穴式格納庫
『紀伊防備隊図』に記載が無く、hのすぐ横にあります。
掘削初めた?様な窪みですが、雑草が酷く詳細は不明です。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  i 掘削跡?(和歌山)


j 横穴式格納庫跡
『紀伊防備隊図』に記載が無く、素堀で全体が崩落し溝状になっています。
荒れた竹藪内にあり、道路からは見えません。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  j 崩落跡の奥(和歌山)


k 横穴式格納庫跡
『紀伊防備隊図』に記載が有り、素堀で全体が崩落し溝状になっています。
道路に面しているためすぐに分かります。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  k 崩落跡(和歌山)


l 横穴式格納庫
『紀伊防備隊図』に記載が有り、道路に面しているためすぐに分かります。
素堀で奥行き5m程です。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  l 壕口(和歌山)
▲壕口は崩落で殆ど埋まっています。

紀伊防備隊 横穴式格納庫  l 内部(和歌山)
▲内部は崩落も少なく状態は良好です。


m 横穴式格納庫跡
『紀伊防備隊図』に記載が無く、素堀で全体が崩落し溝状になっています。
道路に面しているためすぐに分かります。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  m 崩落跡(和歌山)


n 横穴式格納庫跡
『紀伊防備隊図』に記載が無く、素堀で全体が崩落し溝状になっています。
民間墓地の後ろにありますが、道路に面しているためすぐに分かります。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  n 崩落跡(和歌山)


o 横穴式格納庫
『紀伊防備隊図』に記載がありませんが、道路に面したネットで囲まれた場所の奥にありすぐに分かります。
素堀で奥行き3m程です。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  o 壕口(和歌山)
▲これまた壕口は崩落で殆ど埋まっています。

紀伊防備隊 横穴式格納庫  o 内部(和歌山)
▲内部は入ってすぐ切羽になってしまいます。


p 横穴式格納庫跡
『紀伊防備隊図』に記載が無く、素堀で全体が崩落し崖状になっています。
道路に面しているためすぐに分かります。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  p 崩落跡(和歌山)


q 横穴式格納庫
『紀伊防備隊図』に記載が有りますが、道路の少し奥にあり、また倒木が多くやや分かりにくいです。
内部は浸水し、入口付近も泥濘んでいるため長靴が要ります。
全面コンクリート製で、海軍道路沿いの横穴式格納庫の中で最大規模、巾4.5、奥行11mあります。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  q 入口(和歌山)
▲入口は倒木で見通しが悪いです。

紀伊防備隊 横穴式格納庫  q 入口 (2)(和歌山)
▲最も見通しの効く角度です・・・

紀伊防備隊 横穴式格納庫  q 内部(和歌山)
▲各地に遺る発電所に類似しています。

紀伊防備隊 横穴式格納庫  q 入口 内部から(和歌山)
▲内部から入口


r 横穴式格納庫
『紀伊防備隊図』に記載が有り、入口に教育委員会の簡単な説明板が立てられています。
全面コンクリート製で先述 f と同規格、道路に面しているためすぐに分かります。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  r 入口(和歌山)
▲ r 入口と説明板

紀伊防備隊 横穴式格納庫  r 内部(和歌山)
▲内部

紀伊防備隊 横穴式格納庫  r 内部床面(石垣をコンクリートで固める)(和歌山)
▲床面は大きな石を配置しコンクリートで固められています。
 コンクリートの節約でしょうか?


s 横穴式格納庫
『紀伊防備隊図』に記載が無く、道路に面しているものの竹藪の中にあり、分かりにくいです。
素堀で10m程、壕口は殆ど崩落しています。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  s 壕口(和歌山)
▲壕口は崩落で殆ど埋まり、進入できません。

紀伊防備隊 横穴式格納庫  s 内部(和歌山)
▲内部は一部崩落があるも良好で、奥行きも他の素堀壕よりあります。


t 横穴式格納庫
『紀伊防備隊図』に記載が有りますが、竹の柵で囲まれた竹藪内にあり非常に分かりにくいです。
全面コンクリート製で先述 f と同規格と思われますが、内部はガラクタだらけで、辛うじて奥が見える程度です。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  t 入口(和歌山)
▲ゴミが入口まで溢れています。

紀伊防備隊 横穴式格納庫  t 内部(和歌山)
▲辛うじて奥が見えます。


u 横穴式格納庫
『紀伊防備隊図』に記載が有り、道路に面しており分かりやすいです。
全面コンクリート製で先述 f と同規格と思われますが、感心するほど内部はガラクタが詰め込まれており、全く奥が見えません。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  u 入口(和歌山)

紀伊防備隊 横穴式格納庫  u 内部(和歌山)
▲よくもまぁこれだけゴミを詰め込んだもんだ・・・


v 横穴式格納庫
『紀伊防備隊図』に記載が有り、道路に面しており分かりやすいです。
全面コンクリート製で先述 f と同規格と思われますが、これまた感心するほど内部は瓶缶が詰め込まれており、全く奥が見えません。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  v 入口(和歌山)

紀伊防備隊 横穴式格納庫  v 内部(和歌山)
▲・・・。


w 横穴式格納庫
『紀伊防備隊図』に記載が有り、道路に面した農具小屋の後ろにあり、すぐに分かります。
全面コンクリート製で先述 f と同規格、内部は農機具倉庫として使われている様です?
紀伊防備隊 横穴式格納庫  w 入口(和歌山)
▲コンクリート巻立のある格納庫で唯一嵩上げされています。

紀伊防備隊 横穴式格納庫  w 内部(和歌山)
▲内部

紀伊防備隊 横穴式格納庫  w 床面(石垣使用)(和歌山)
▲この格納庫も床面は石が敷かれコンクリートで固められています。


x 地下壕
『紀伊防備隊図』に記載が無く、竹藪の奥にあります。
全体が殆ど崩落しています。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  x 崩落跡(和歌山)
▲殆ど崩落していますが、奥に僅かに壕本体が遺ります。


y 地下弾薬庫跡
『紀伊防備隊図』に記載が有り、コの字型をしていました。
東側入口はブロックの小屋の背後にありますが、コンクリートで完全に密閉され、西側入口は擁壁で埋められ痕跡すらありません。
近所の方の話では内部は素堀で小部屋が交互に並んでおり、西側入口はかなり低い位置(海面に面していた)にあり、弾薬庫だったとの事です。
紀伊防備隊 横穴式格納庫  y 東側壕口(閉鎖)(和歌山)
▲東側壕口はコンクリートで完全に閉鎖されています。

紀伊防備隊 横穴式格納庫  y 西側壕口(完全閉鎖)(和歌山)
▲西側壕口は斜面改良で痕跡もありません。

以上、僕が踏査した横穴式防護施設は25ヶ所なので、『由良市誌』の記述通り33ヶ所あったとすると見つけられなかった残り8ヶ所がどこかにあると思われます。


主要参考文献
『近畿地区施設一覧(附青図)』 43紀伊防備隊 (アジア歴史資料センター)

『大阪警備府 戦時日誌』 (大阪警備府司令部 昭和19年7月1日~31日)

『由良町誌 通史編 上巻』 (平成3年 由良町誌編集委員会 由良町)
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盡忠報國

Author:盡忠報國
大阪在住、遂に40代になってしまった男児です。

 明治開国以降、幾多の国難に立ち向かった先人達。
 光輝ある精強・帝國陸海軍が各地に築いた国防・軍事施設、そして祖国の弥栄を願い悠久の大義に生きた殉国の英霊の志に触れるべく訪問した顕彰・慰霊施設を紹介するとともに、戦後歪められた先人達、国軍・軍人の名誉を回復する事を目指し記述しています。

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