当ブログは主に「帝國陸海軍関連の軍跡(遺構・戦跡・石碑など)」・「英霊顕彰施設」を紹介していますが、
それ以外の記事も混在しているので、左欄「カテゴリー」からお進みください。●●文字数調整●太平洋戦争●
なお、紹介する軍跡は資料不足から漏れ・誤認等もあると思いますのでお気付きの点があれば、ご教示頂ければ幸いです。

鯖江陸軍墓地

福井県鯖江市の鯖江市役所北側に鯖江陸軍墓地があります。
鯖江陸軍墓地 a 支那事變戦歿者忠霊塔(鯖江)
▲支那事變戦歿者忠霊塔

【参拝日時】
平成22年11月24日

【改訂情報】
平成29年5月2日 体裁改定





歩兵第三十六聯隊 関連諸施設配置
歩兵第三十六聯隊 鯖江 陸地測量部(昭和5測図・修正)(鯖江)
▲『大日本帝国陸地測量部地形図15 福井及鯖江近傍』(昭和5年測図修正)

歩兵第三十六聯隊 鯖江 現在(鯖江)
▲現在の地図に転写
① 歩兵第三十六聯隊 兵営
② 露天馬場
③ 鯖江陸軍病院
④  〃 拡張部
⑤ 鯖江陸軍練兵場
⑥ 鯖江陸軍射撃場
⑦ 旧鯖江陸軍射撃場
⑧ 鯖江憲兵分隊
⑨ 鯖江聯隊區司令部
⑩ 鯖江陸軍墓地
※名称は昭和12(1937)年頃
※緑文字が当記事の紹介施設


遺構について ※青字は地図とリンクしています。
(数字、アルファベット等の遺構配置は上掲地図参照)
⑩ 鯖江陸軍墓地
明治29(1896)年3月14日、陸軍省は『陸軍平時編制』を改定(勅令第二十四號)し第七から第十二師團の編成、歩兵第三十六聯隊の福井県下設置を決定します。

陸軍省は鯖江台地の中央にあり地盤が堅固で洪水の心配が無く、飲料水に恵まれ、且つ交通の便が良く、旧鯖江城下町が近く宿舎・娯楽施設が備わった丹生郡立待村と今立郡神明村の境にある糺野ヶ原(現、鯖江市)を新設兵営用地として選定し、4月、両村に告知します。

両村は直ちに山林・原野の売買を停止、6月、兵営敷地丈量野取帳(兵営配置の見取図)が作成され、野尻録衞・立待村村長、山本七兵衛・神明村村長を始め多数の献納(13町歩:39,000坪)、陸軍省による買収により用地を取得、7月、買収承諾書、請求書が作成されます。
該当用地の多くが山林・原野であった事、聯隊設置による地域活性化への期待に加え、ロシアの急速な南下政策に対する危機により用地取得は円滑かつ急速に完了、多くの地元民の奉仕作業も加わり兵営及び付帯施設の建設が実施され、明治30(1897)年8月20日、歩兵第三十六聯隊が竣工間近の兵営に転営、丹生郡立待村牛屋(経ヶ岳南麓)に鯖江陸軍埋葬地が開設されます。
※『鯖江市史』では鯖江陸軍埋葬地の開設年を「明治39(1906)年」としていますが、明治31(1898)年9月21日付で鯖江陸軍埋葬地に番宅及井戸を配置した事を報告する文章がある事から、聯隊の鯖江移駐に伴い開設されたと見るのが妥当だと思います。

大正3(1914)年、兵営南側にあった鯖江陸軍射撃場は南側を向いており常時逆光になり射撃に不向きな事、また年々周辺に民家が増えてきて危険な事から、経ヶ岳南麓にあった陸軍埋葬地を射撃場南端に移築し歩兵作業場及び余剰地を払下げ、陸軍埋葬地跡を含め新たに用地を買収し射撃場を移設します。

昭和13(1938)年5月5日、陸軍省令第十六號『陸軍墓地規則』が制定され鯖江陸軍埋葬地は鯖江陸軍墓地に改称します。
昭和20(1945)年8月15日、『大東亞戰爭終結ノ詔書』の渙発を受け、16日、停戦を迎えました。

9月6日、迫撃第三聯隊補充隊長・原田克己少佐以下全将兵が鯖江陸軍墓地に参列し慰霊祭を斎行、建軍以来の英霊に停戦と部隊の復員を報告します。

25日、米第1軍団第33歩兵師団が和歌山市二里ヶ浜に上陸、10月25日、第136歩兵連隊の一部(ケッセル大尉以下400名)が鯖江に進駐し、兵営以下陸軍施設を接収、12月28日、第103軍政中隊(ハイランド中佐)が敦賀に置かれ、福井県全域を占領します。
軍政中隊は陸軍墓地の破壊を画策しますが、戦争未亡人会を始め近隣の住民が柵や人垣を作り激烈に抵抗し陸軍墓地の存続を請願、米軍は墓地を個人、民間の所有とする事で存続が認められます。
早速、遺族会は陸軍墓地7,100坪を109000円で購入、昭和22(1947)年5月28日、陸軍墓地の管理は鯖江忠霊塔奉賛會から福井県遺族連合互助會(現、福井県遺族連合会)に移管、昭和24(1949)年3月11日、陸軍墓地の所有権が同会に移管され、6月24日、嶺北忠霊場に改称、同会により英霊顕彰が行われます。
現在、戊辰の役以降、大東亜戦争までの英霊25,157柱がお祀りされています。
なお、2,000坪は福井県に移管され大東亜戦争における戦歿者墓地になっています。

鯖江陸軍墓地、及び敷地内にある福井県平和祈念館は鯖江市遺族連合会・岩堀修一会長に御案内頂きました。
お忙しいところ長時間に渡り御案内頂きありがとうございました。この場を借りて御礼申し上げます。


鯖江陸軍墓地 陸軍墓地 全景(鯖江)
▲鯖江陸軍墓地 全景

a 支那事變戦歿者忠霊塔
昭和12(1937)年7月7日、北支事變(9月2日、支那事變と改称)が発生、昭和14(1939)年7月7日、「皇戦二殉ジタル忠死者ノ遺骨ヲ合祀シ其ノ忠霊ヲ顕彰スル」事を目的とし(財)大日本忠靈顕彰會が発足し、全国に忠霊塔の建立運動を開始します。
同年、鯖江忠霊塔奉賛會が設立、昭和16(1941)年9月、支那事變戦歿者忠霊塔が竣工します。
揮毫は時の第九師團長・吉住良輔中将です。
鯖江陸軍墓地 a 支那事變戦歿者忠霊塔 (2)(鯖江)
▲忠霊塔は鉄筋コンクリート製で間口4間4尺5寸(8.6m)、奥行5間3尺(10m)、高さ10間3尺2寸(19m)あります。

鯖江陸軍墓地 a 支那事變戦歿者忠霊塔 内部(鯖江)

鯖江陸軍墓地 a 支那事變戦歿者忠霊塔 内部 (2)(鯖江)
▲特別に内部を見せて頂きました
  中央に阿弥陀如来、周辺に整然と御英霊の遺骨が納められた骨壷が安置されています


b 上海事件陣歿者合葬碑
昭和7(1932)年7月、建立されました。
揮毫は時の第九師團長・植田謙吉中将です。
鯖江陸軍墓地 b上海事件陣歿者合葬碑(鯖江)


c 滿洲事變陣歿者合葬碑
昭和12(1937)年9月、建立されました。
揮毫は時の第九師團長・蓮沼蕃中将です。
鯖江陸軍墓地 c滿洲事變陣歿者合葬碑(鯖江)


d 明治三十七八年戰役戰死病歿合葬碑
明治40(1907)年3月10日に建立されました。
左から将校同相當官、准士官、下士並軍属、兵卒並軍属合葬碑
鯖江陸軍墓地 d 明治三十七八年戰役戰死病歿合葬碑(鯖江)


e 将校 墓所
20名の方が眠ります。
鯖江陸軍墓地 e 将校墓標 北西から(鯖江)

鯖江陸軍墓地 e三原重雄大佐墓標(鯖江)
▲三原重雄大佐墓標
 当陸軍墓地の個人埋葬者で最高位の方です。

歩兵第三十六聯隊 三原重雄大佐(鯖江)
三原大佐は明治37(1904)年9月27日、日露戦役の旅順要塞攻撃に際し、敵の逆襲を受け窮地に陥った部下を救援に急行中、敵弾を浴び散華されました。

鯖江陸軍墓地 e 陸軍少将従五位勲三等功三級三原君之碑(鯖江)
▲陸軍少将従五位勲三等功三級三原君之碑
 顕頌碑は明治三筆に数えられる書家・日下部東作(鳴鶴)の手によるものです。


f 下士官 墓所
19名の方が眠ります。

g 兵卒 墓所
31名の方が眠ります。
鯖江陸軍墓地 f下士官・g兵卒墓標 北東から(鯖江)
▲奥が下士官、手前が兵の方の墓所です


谷を挟んだ西側に戦後造成された大東亜戦争の戦歿者墓地があります。
鯖江陸軍墓地 戦後の墓(鯖江)


福井県平和祈念館
平成19(2007)年、福井県遺族連合会の創立60周年記念事業として、三六武道館の2階にあった資料館を陸軍墓地(嶺北忠霊場)に新築移転しました。
鯖江陸軍墓地 福井県平和祈念館と父と母子別れの像(鯖江)
▲福井県平和祈念館と父と母子別れの像

館内は歩兵第三十六、百三十六聯隊の史資料を中心に福井県出身の陸海軍軍人の方々のご遺品、銃後の史料などが展示されています。
中でも支那事變における歩兵第三十六聯隊の陣中日誌は貴重な一次資料です。
鯖江陸軍墓地 福井県平和祈念館展示 (2)(鯖江)

鯖江陸軍墓地 福井県平和祈念館展示(鯖江)
▲館内の展示

因みに祈念館の位置には昭和16(1941)年、篤志家が寄進した「番宅」が建てられ陸軍墓地は参拝者の参集所として利用、戦後は遺族連合会管理施設として使用されてきましたが、祈念館建設に際し惜しくも取り壊されてしまいました。

祈念館は通常閉まっているため、見学希望の方は事前に鯖江市遺族連合会に解錠していただく必要があります。
訪問前に児童館0778-52-3561に電話連絡すれば遺族連合会岩堀会長の連絡先を教えて頂けます。



主要参考文献
『鯖江市史 通史編下巻』 (平成11年3月 鯖江市史編纂委員会)

『鯖江歩兵第三十六聯隊史』 (昭和51年8月 鯖江歩兵第三十六連隊史蹟保存会)
関連記事



最後までお読み頂き、ありがとうございますm(_ _)m
↓↓↓
宜しかったらクリックお願いします


人気ブログランキングへ

コメントの投稿

非公開コメント

福井

今から行きます。

Re: 福井

Tasutaro 様

参拝、ご苦労様です。
拙ブログの記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
戦史検定を受けよう!
当ブログは
「戦史検定」を応援します
戦史検定
カテゴリ
カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
カウンター
最新コメント
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
御英霊の鎮まる処
殉国の御英霊に
感謝の誠を捧げましょう
靖國神社
兵庫縣神戸護國神社
大阪護国神社
プロフィール

盡忠報國

Author:盡忠報國
大阪在住、遂に40代になってしまった男児です。

 明治開国以降、幾多の国難に立ち向かった先人達。
 光輝ある精強・帝國陸海軍が各地に築いた国防・軍事施設、そして祖国の弥栄を願い悠久の大義に生きた殉国の英霊の志に触れるべく訪問した顕彰・慰霊施設を紹介するとともに、戦後歪められた先人達、国軍・軍人の名誉を回復する事を目指し記述しています。

拙ブログを参照した際はリンクを張って頂けたら嬉しいです
(^o^)
--------------
※掲載写真・資料の
無断転載は禁止します。


●Facebookやってますので本名ご存知の方はぜひ。
目印は水木しげる先生風の自画像です(笑)

検索フォーム
リンク
地図・史資料
埼玉西武ライオンズ
埼玉西武ライオンズ
ライオンズニュース
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる