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厚生省 西部國民勤労訓練所

奈良県奈良市法華寺町に所在する航空自衛隊 奈良基地は厚生省 西部國民勤労訓練所の跡地にあります。
西部國民勤労訓練所 大講堂2(奈良)
▲奈良基地内に遺されていた講堂





遺構について
厚生省 西部國民勤労訓練所

USA-M275-A-8-14(211002)(奈良)
▲昭和21(1946)年10月2日の西部國民勤労訓練所跡(国土地理院 USA-M275-A-8-14)

講堂
グランド北側にありました。
平成18(2006)年、老朽化により解体され、平成21(2009)年、現在の講堂(飛翔館)に建て替えられてしまいました。
西部国民勤労訓練所-1(奈良)
▲所長:志岐豐陸軍予備役中将を囲む訓練生
 人物の後ろに僅かに講堂の屋根が覗いています。

西部國民勤労訓練所 大講堂2(奈良)
▲講堂 南西から

西部国民勤労訓練所 大講堂内部(奈良)
▲講堂 内部

観閲行進
▲建て替えられた「飛翔館」


厚生省 西部國民勤労訓練所 概要
昭和12(1937)年7月7日、北支事變(9月2日、支那事變と改称)が勃発、支那国民党軍の度重なる違法行為により解決も糸口がみえないまま長期化していきます。
近衛内閣は戦時体制を確立すべく、昭和15(1940)年7月26日、『基本國策要綱』を、12月7日、『経済新體制確立要綱』を閣議決定し原料、労働力の集中管理による生産性の向上を企図し全業種に渡り大企業を中心とした企業の整理、統合を順次進めていきます。

昭和16(1941)年12月8日、大東亜戦争が勃発、戦争完遂に向けさらなる各業種の企業統合を強化すべく、東條内閣は昭和17(1942)年3月10日、『中小商工業者ノ整理統合並ビニ職業轉換促進二關スル基本的處理方針』を閣議決定し、中小商工業の整理、統合を推進していきます。
政府は同方針により重要産業に転業・転職の対象となった商工業者に対し無料で(手当あり)職業訓練・技術教授を実施、より円滑に転職ができるよう東京、奈良(のちに静岡に中部國民勤労訓練所が開設)に國民勤労訓練所を開設しました。

昭和16(1941)年1月、両國民勤労訓練所の用地買収が実施され、昭和17(1942)年1月2日、東京府多摩郡小平村(現、東京都小平市)に東部國民勤労訓練所(佐枝義重陸軍予備役中将)が、4月1日、奈良県に西部國民勤労訓練所(志岐豊陸軍予備役中将)が、昭和18(1943)年、静岡県の日蓮正宗・総本山大石寺の書院を貸切り中部國民勤労訓練所(城倉義衛予備役中将)が開設されました(後に九州、松山にも開設)。
西部国民勤労訓練所-2(奈良)
▲西部國民勤労訓練所の正門
 現在も同位置に空自・奈良基地も正門がありますが建て替えられています。

4月2日、西部國民勤労訓練所において訓練生653名の入所式が行われました。
西部国民勤労訓練所-3(奈良)
▲入所式における宮城(皇居)遥拝

西部国民勤労訓練所-4(奈良)
▲地均し作業訓練

西部国民勤労訓練所-5(奈良)
▲銃剣道による体力強化

西部国民勤労訓練所-6(奈良)
▲「聖室」において綱領朗読を行い精神修養をする訓練生

昭和20(1945)年8月15日、『大東亞戰爭終結ノ詔書』の煥発により停戦を迎え、施設は閉鎖されます。
9月25日、米第6軍第1軍団が和歌山市二里ヶ浜に上陸、厚生省 西部國民勤労訓練所は米軍に接収され「キャンプ ナラ E地区」と改称され、昭和31(1956)年9月17日、大蔵省に返還されます。
10月18日、航空自衛隊幹部候補生学校の先遣隊が防府から移駐し、奈良基地が開設、現在も我が国の防衛を担う航空自衛隊幹部候補生の教育を実施しています。


主要参考文献
『写真週報 第216号』 ( 昭和17年4月15日 内閣情報部 )

『奈良県政七十年史』 (昭和47年 奈良県)

航空自衛隊 奈良基地 HP

奈良新聞 HP

・米軍撮影空中写真(昭和21年10月 国土地理院)
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盡忠報國

Author:盡忠報國
明治開国以降、幾多の国難に立ち向かった精強帝國陸海軍、命をかけて国や家族を護ろうとした先人達に思いを馳せるとともに、祖国の弥栄を願い国難に殉じた英霊の遺徳に触れ感謝すべく探索・訪問した軍事遺構、護國神社、資料館を紹介、併せて遺構の歴史、地域との関わり、関連部隊などの調査、研究成果を発表しています。

遺構は飽くまで「物」であり、そこに関わった「人」の存在、歴史を理解してこそ遺構の調査、研究は成立すると考えます。
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