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『長宗我部』の書評

6月18日の記事で長宗我部家の子孫の方が、家に伝わる古文書類を寄贈したことを書きました。




長宗我部ファンとして気になったので、この子孫の方である長宗我部友親氏をネットで検索すると最近、この寄贈した古文書を元に書籍、その名も『長宗我部』を上梓されたようです。

そこで早速Amazonで注文して読んでみました
僕が歴史系の本を購入する際はまず本屋で中身を立ち読みして、内容を吟味、新事実や新しい解釈等が書かれており、自分の手元の置くに値すると判断した場合は購入します。
しかし、今回は長宗我部ファンとして長宗我部氏の子孫の方が書いた本なら手元において置くのも良しとして衝動的に購入しました。

そして何より寄贈された古文書の内容や、氏の先祖が今まで余り触れられなかった元親の末弟である島親益である事から、親益系統の系譜や事績について詳細に触れられていると予測でき、それなら買う価値はあるのではないかと判断しました。

前置きが長くなりましたが、書評に移りたいと思います。

まず本書はおおよそ長宗我部氏の出自と元親に至るまでの長宗我部家の歴史、元親の事蹟を中心として先代の国親、次代の盛親の事蹟、筆者の祖である島親益系の今日までの軌跡を3本柱として記されています。

ただ、島親益の家系以外の部分は長宗我部元親の事をかじった方ならお馴染みの内容であり、特に目新しいことは書かれていませんでした。

長宗我部氏の出自については従来の秦始皇帝の末裔である秦河勝としており、完全に「秦始皇帝の末裔」と断定、また元親、盛親の事蹟についても「長宗我部元親=英雄」(英雄は汚れた事はしない!的な史観)として書かれた江戸時代中期の軍記物『土佐物語』を元にしています。
特に関ヶ原から滅亡にいたるまでの経緯は現在は疑問視されている「奸臣・佞臣の久武親直一人が悪人」として描かれる従来の形を取っています。

島親益の家系については新聞にも掲載の「寄贈された家系図」、『差出書』を元に書かれていますが詳細な考察はされていません。
親益の跡を継いだ五郎左衛門親典については本書を元にすると文禄2(1593)年生~万治4(1661)年没となりますが、元亀2(1571)年に海部友光に暗殺された親益の子とすると生年が合いません(20年の空白)。

また一説に五郎左衛門は吉良親貞の子(4男・親英と同一人物?)とも言われますが、親貞の没年である天正4(1576)年とも合わず、こちらの説に関しては言及もありません。

親益と五郎左衛門の関係や、親益、親貞の実子として生年が合わない事に関しては一切の言及、考察は無く『差出書』を元に五郎左衛門が元親の子孫としか書かれていません。

また親益が暗殺により死去した事蹟と五郎左衛門の事蹟はぶつ切りされ、それぞれ別章で書かれており五郎左衛門と親益との関係は?誰の子?という疑問が残ります。

「長宗我部氏の子孫が書いた」という事で子孫しか知り得ない新たな説や伝来の文書が記されているかと期待しましたが、残念ながら島親益系の系譜以外は特に新たな事柄はありませんでした。

また、長宗我部氏の子孫を網羅している訳ではなく(筆者の出自である島親益系のみ)、大坂の陣後も生き残った肥後に渡った吉良親貞の3男、貞実の子孫(町源右衛門系)、筑後に渡った盛親の娘が嫁いだ上野平太夫の子孫や、奥羽に渡った香宗我部親泰の子孫、盛親の弟と言われる長宗我部康豊(右近大夫とは別人)についても一切触れられていません。

本書の内容は史実を脚色した軍記物、系図を元に書かれている事に留意し、長宗我部氏の子孫が書いた本をどうしても手元に置きたい長宗我部ファンにはお薦めしますが、長宗我部氏を史料や史実に即して深く知ろうとする方には余りお薦めできません。
いわば「長宗我部元親概説」といった感じの本でした。

残念ながら僕の期待していたレベルの本では無かったので、いつも通り本屋で吟味したら良かったと思いました

※書評はAmazonにも投降しています。
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Author:盡忠報國
大阪在住、遂に40代になってしまった男児です。

 明治開国以降、幾多の国難に立ち向かった先人達。
 光輝ある精強・帝國陸海軍が各地に築いた国防・軍事施設、そして祖国の弥栄を願い悠久の大義に生きた殉国の英霊の志に触れるべく訪問した顕彰・慰霊施設を紹介するとともに、戦後歪められた先人達、国軍・軍人の名誉を回復する事を目指し記述しています。

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